私たちの正体
朝日が昇る前の海岸沿いを、一緒に歩いた。
たった数時間の付き合いだ。ただのネコだと思っていた。
野性が戻る、猫の瞬間を、目撃した。
鳥を咥えたまま、海辺から離れて行く。
ついて来ないと立ち止まり、こっちを振り返る。
私は、食事のお供に許されたようだ。
柵の隙間を追いかけっこしていたのに、
結局、鳥は皿の上に乗った。それも動いたまま。
鋭い歯を見せて、嚙みちぎる。
レンズ越しでしか、見ることができなかった。
振り向いた。猫と目が合った。
鼻の下の血の糸に、気が付いてしまった。
その糸を切るように、そこから逃げた。
その街を離れる時、最後にまた寄った。
そこには羽しか残っていなかった。





















