太陽になびくワンピース
風を食べて生きる鯉のぼりの胃の中は、一体どうなっているんだろう。
風を食べたその瞬間は、一体どんな景色なんだろう。
気を抜いたら、すぐに空に吸いとられていく。
重力とつないでた手がの指先が、一瞬だけ離れたかのような気分だ。
瞬きをする前に、手は元に戻っている。
鯉のぼりの胃の中へようこそ。
2020.09.19-20/SICF21 ステートメント

2016.10/五美術交流会(武蔵野美術大学)にて展示。

2016.10/五美術交流会(武蔵野美術大学)にて展示。

2020.09.19-20/SICF21にて展示。

2020.09.19-20/SICF21にて展示。

2020.09.19-20/SICF21にて展示。

2020.09.19-20/SICF21にて展示。

2020.09.19-20/SICF21にて展示。
「太陽になびくワンピース」とは、太陽に向かってなびいている一枚の布という意味のことばである。それは、鯉のぼりという言葉を使わずに鯉のぼりを表現したものだ。
このシリーズの写真は、トリミングも、加工も全くしていない。
ここには、太陽と風と、色しかない。
鯉のぼりの色しかない。
自分の意思で構図を決めることも、光を操ることも、ファインダーを覗くこともできない。
どうしても逆らえないものの中で、シャッターを切る。
どうしても逆らえないものが、ただ、ただ景色となり、色となり、広がっていく。
そして、私の手元には、シャッターを押したという事実しか残っていない。
その時何が見えているのか、わからない。
まるでフイルム写真かのように、撮った後に何がどのように写っているのかが、はじめて分かる。
ただ、風と向き合うしかなく、色と向き合うしかない。
鯉のぼりの胃の中に入って、ひたすら食べられているしかないのかもしれない。
2016年に、B0サイズにプリントして展示したことがある。
その時、5歳の少年が、「ママ、鯉のぼりだよ。」と言った。
お母さんは「教えて、」と言う風に子供に駆け寄った。
その瞬間、私は「正解」に遭遇した。
SICF21 展示風景

